衆議院選挙結果と今後の為替動向予測
2014年12月15日(月)
先日14日、衆議院選挙の投票、開票が行われましたね。結果は自民党の圧勝、安倍政権の継続となりました。
今回の選挙の要旨・論点をいくつかまとめ、自民党の勝利が、経済的に何を意味するのか、考えていきましょう。
今回の選挙の論点はアベノミクスの是非
今回の衆議院選挙の主な論点の中心となったのは“アベノミクスの是非”です。
2012年12月の政権交代から2年、アベノミクスでは「大胆な金融政策」、「機動的な財政出動」「成長戦略」を掲げ、様々な政策を行ってきました。
特に注目されたのは金融緩和政策。インフレ目標の設定や、追加緩和政策となります。
インフレ目標の設定について
もともと日本では、インフレ目標の設定は掲げられていませんでした。
実はこれ、世界的には珍しいことで、2012年時点、先進国でインフレ目標の設定をしていないのは、日本のみと言われていたのです。
安倍内閣が発足した2012年時点、日本の景気は悪化の一途を辿っていました。原因としては、米国のリーマンショックによる世界経済の停滞、東日本大震災などが挙げられます。
そこで、行われた政策が、インフレ目標の設定、追加緩和政策です。
デフレが進み、所定外労働時間、有効求人倍率、所得が下がる中で、金融緩和により、負のスパイラル、いわゆる“悪いデフレ”の状況を抜け出そうとしたのです。
はっきりと浮かび上がったインフレのメリットデメリット
金融緩和の政策前より、インフレのメリット、デメリットに関しては多くの議論がありました。
勿論その中には想定されていたもの、あるいはそうでないものなどがあります。
想定されていたもの(メリット)
・外国人旅行客が増える
円安となると、外国人は、日本旅行に格安で行くことができます。その為、観光業などのサービス業は景気が良くなっていると見られています。
「日本観光ブーム」中国に続き韓国でも 「政府間は冷え込み続くが…」円安効果絶大
・株高
円安となることで、外国人投資家は日本株を購入しやすくなります。
その為、日本株は値上がりすることが期待されていました。
想定されていたもの(デメリット)
・家計の圧迫
円安となることで、モノの輸入価格は上昇します。その値上がりは純粋に、スーパーや、飲食店などで売られる食べ物の値段などにも影響を与えています。
想定外(デメリット)
・輸出が伸びない
トヨタ、円安でも輸出減 アベノミクス誤算
インフレは通貨価値を下げることにも繋がるので、外国から見ると、日本のものを安く変えるということになります。しかし、予想外に輸出は伸びず、また、円安により、輸入費が嵩むため、結果的に貿易赤字が続く状況となっています。
まとめ
以上、ざっとアベノミクスのメリット、デメリットを振り返ってみました。
今回の選挙においては、自民党が圧勝したので、今後とも、アベノミクスの金融緩和政策は続いていくことが予想されます。
なので、長期的に見れば、為替のトレンドは“円安”に進んでいくことが予想できるでしょう。
しかし、本日発表の日銀短観では、対企業製造業が2期ぶりに悪化するなど、日本の景気は依然として、良いと言える状況ではないでしょう。
12月の日銀短観、大企業製造業DIプラス12 2期ぶり悪化 先行きプラス9
景気の流れや、海外からの声により、今後の金融政策がどのように動いていくのかに注目したいですね。